平野勝之AV上映イベント出ます!

 11月14日(月)渋谷アップリンク・ファクトリーで行われる平野勝之特集上映の二日目に、盟友(マブダチ)ペヤングマキさんと一緒にトークします。二日目の上映作品は『二十一歳』『わくわく不倫講座』です。どちらも今となってはなかなか入手の難しいAV作品ですので、未見の方はぜひ! ついでにトークもきいてってくれると嬉しいです。なんか一時間ぐらいしゃべるらしいので、きくのダルい人は上映だけ観て、トーク中はアップリンクの素敵なカフェ・タベラでごはん休憩とかいうのもアリです。途中退場されても全然うらみませんから好きに過ごしてくださいね。


 いや〜、ペヤングさんとこのお題で話せるの嬉しいですね。ペヤングさんと私は同じトシで同じ九州出身。さらにダメ押しのように同じエロ業界という、なんというか運命が濃い感じ。なんかこう、場末のスナック的な感じで話せたらいいかなって思ってますよ……。ちなみに一日目はカンパニー松尾監督がトーク出演されるそうです!


予約もう開始してます。詳しくはこちらからどうぞ!
http://www.uplink.co.jp/factory/log/004187.php

泣くための場所

 タロットの占いに行ったら塔が崩れるカードが二回続けて同じ場所に出た。三回目はダメ押しのようにひとつずれた場所に出た。「あなた引きが強いわね。今ぱつぱつでしょう」。そして紙一枚ぶんほどの薄い希望しかない暗い未来の話と、その先にある新しい世界の話をきいた。


 イヤホンをつけて音楽を聴きながら長いこと歩いて家に帰ってからも、イヤホンを外す気になれなくてそのまま、音楽のボリュームを上げたままわたしは部屋の古いカーテンを外し、買ってきた新しいカーテンをつけはじめた。


 音楽が耳のなかを通って、喉を抜けて、肺を駆け抜けて心臓を掴む。息が止まる。


 新しいカーテンは、レールにリボンで結びつけるタイプのもので、わたしは両手をレールよりも高く上げて、リボンをきれいな蝶結びにしようと指を動かしていた。指がふるえて、止まって、そのままカーテンにしがみついて泣いた。生成りの薄いカーテンにマスカラがにじんだ。日が落ちてきて窓の色が濃いブルーに変わる。


 リボンがよじれないように、まっすぐリボンを上げて、クロスさせ、結んで、蝶のかたちをつくる。ほどけないよう蝶の両翼をきつくひっぱりながら、世界が終わるとかいって終わらなかったのはいったい何度目か考える。たぶん二回目くらいだけど、わたしの中では世界は何度も何度も壊れて終わっていて、終わっても自分は生きていて、終わったのになぜまだ息をしているのか不思議に思い、何度でも生きていることを呪いながら、暗いところでじっとしているとまた世界のはじまりの光が見えてくる。


 はじまる前の深い深い暗闇の中にまで降りてくる音楽というのがこの世にはあって、それはからっぽになったからだの中にまで入り込んできて、からっぽになったと思っていたからだの中にまだあふれている水を震わせて、まだ生きてるっていう絶望的な希望のことを教えてくれる。音楽がつづいているあいだ、わたしは息をして、水を飲んで、カーテンをレールに結んだりしながら、今しか見ることのできない美しい暗闇を見、そこにあたらしい光が差し込むのを待っている。

泣くためだけの場所

 ただ抱きついて泣かせてくれるだけの風俗があったら行ってみたいと、年に3回くらい思うことがある。わたしにとって、泣くことが性欲よりも切実な排泄の欲求なんだろうかと思う。泣くことなんてひとりでもできるのに、なぜかひとりで泣くときには無意識にストッパーがかかる。わたしはひとりで声をあげて泣けない。誰も見ていないところで、あられもない泣きかたができない。


 ひとに見せるために泣くのではないのだから、べつにひとりでどんなにみっともない泣きかたをしてもいいはずなのに、不思議に思える。たとえ心もなにも通わない、名前も知らない赤の他人でも、誰かにしがみついて泣けば、大声で泣けるような気がする。


 でもそれってセックスに似てる。ひとりでは大声は出さない。そしてふたりのほうがストッパーが外れる。そういうことを考えると、わたしは赤の他人が好きで好きでたまらないようなそんな気がしてくる。

花津ハナヨ先生インタビュー

サイゾーウーマンで、花津ハナヨ先生に最終回を迎えた『情熱のアレ』についてインタビューさせていただきました! 最終巻は11月18日発売だそうです。キャーキャー! 読み返したらウッと言葉に詰まりグサッと心に刺さる箇所が……。『情熱のアレ』、未読の方もぜひどうぞ。ハナヨ先生、ありがとうございました!


http://www.cyzowoman.com/2011/10/post_4490.html

世界でいちばんしびれる女

私はその昔、夢野まりあという女優さんが妙に好きで、彼女に取材させてもらえることになったときはとても喜んだ。ちょっとアメリカンポルノみたいな感じの、人気のある女優さんだった。私が彼女に取材できたのは、彼女が人気の全盛期を過ぎて、少し年齢を重ねてきてからのことだった。


夢野まりあは取材に遅刻してきた。遅刻するところも「すみませ〜ん!」と言いながら駆け込んでくる姿も、心からいいなぁって感じで、私は全然いやな気分になんかならなかった。


「ちょっとごめんなさい、写真撮るんですよね? メイクしてもいいですか?」と言って彼女は化粧ポーチを3、4つバッグの中から取り出した。「もちろんいいですよ、どうぞ」と言うと、彼女はなんとマニキュアから塗り始めた。マニキュアが乾くあいだに、爪に当たらないよう器用にメイク道具を駆使して、ファンデーション、チーク、アイライン、アイシャドウ、マスカラを塗っていった。時間はさほどかからなかったと思う。


ポーチから出てくる化粧品は、ディオール、シャネル、ゲラン、エスティローダー、どれもブランドものの、パッケージからゴージャスなものばかりで、寝不足で疲れているらしい彼女の顔がそれらの化粧品で一気に輝きを増していく様子は本当に女優っぽくて、少し疲れていることすら魅力的だった。でも、最高にしびれたのはそのあとだった。


ブランドもののポーチの中から、白っぽいパールのマニキュアを施した彼女の指が、使い古されてロゴがかすれた細いマッキーのペンを取り出した。そして長い爪でキャップを開けると、鏡を見ながら唇のななめ下にマッキーを軽く押し付け、ほくろを描いた。


唇の下の色っぽいほくろは夢野まりあのトレードマークだった。それがマッキーで描かれたものだったなんて、一度も思ったことがなかった。


マッキーのキャップを閉めた夢野まりあは「じゃあ始めましょうか」とにっこり笑って、サービス精神旺盛に、若い男の子の編集者のヒザにまたがってくれたりしながら軽やかにトークしてくれた。そこにいるのはビデオの中で見る夢野まりあそのもので、いつも通りに最高で、いつも通りに夢野まりあだった。


彼女がきらびやかな光にあふれた化粧ポーチから、ボロボロのマッキーをまるで魔法の杖のように取り出して変身する姿を思い出すと、いつでもたまらない気持ちになる。この世界には最高の女たちがいて、ボロボロのマッキーみたいなもので魔法を使って魅了してくれる。そう思うとどんなことでも、できそうな気分になってくる。この先に最高の瞬間がいくらでも待っていそうな気がしてくる。


だけど、最高にしびれる女は、私にとって夢野まりあかもしれないなとときどき思う。

今月号の『FEEL YOUNG』、わたし読んでから二日ぐらい興奮しすぎてロクに眠れないんですけど、ちょっと読んだみなさんどうですか。正気でいられてますか。何がってもうアレですよ。アレに決まってるじゃないですか。『&』ですよ! 買う前にコンビニでパラパラってめくってみてうわヤッバいな〜と思いつつ買って、帰って……。わたし、このマンガ読んでるときの顔だけは、死んでも人に見られたくないですよ。すっごい顔してると思うもん!


一体なにがそんなにヤバいのか、何を言ってもネタバレになるんですけど、一回分まるまるセックスシーンなわけで、それがもう画力と構成力で見せる見せる引き込む引き込むそしてツボにグッとくるような何かがふんだんにちりばめられて……いや地雷のように埋め込まれて……読んでて数回、蚊の鳴くような声で「助けて」って言いましたよもう。そしてなにあのいまだかつて見たことのない、グッとくる男の射精シーン。「グッとくる男の射精シーン マンガ」で脳内検索したら尾崎南先生の同人誌の見開き射精シーンしかヒットしなかったですよ! 『サプリ』のベッドシーンも度肝を抜かれましたけど、おかざき先生のベッドシーン、ちょっとディテールを読み込めば読み込むほど顔赤くなるくらいエロいですよね。ブラインドとか! そして、細身な女の身体の色気というものをよく、わかってらっしゃる。


矢飼先生がちょっとエロすぎるので忘れがちですが、シロちゃんもいいんですよね。理系メガネ男子! わたしだったら下半身もダブルワーク……いやなんでもないです。ちょっと、出てくる男たちがセクシーすぎてねぇ。なんかもうちょっとまともに良さを語りたいんですけど、この作品に関しては矢飼のフェロモンにヤラれて言葉が出てこないです。あと一年ぐらい経たないと冷静には読めないんじゃないだろうか。いや、一年でも無理かも。読んでるともう「矢飼先生が架空の人物で現実には存在しない」っていう事実に心が耐えられない感じだもん。現実に存在したら存在したで「私とつきあってくれない」っていう事実に心が耐えられないと思うけど。ヤバいですよね私、若干気が狂ってますよね。魂が半分口から出てますよね。がんばって飲み込みつつ、仕事します。

WEBスナイパーの特集「女性向けAVの現在形」で、「一般の女性が女性向けAVを観たらどう感じるのか?」感想をうかがうインタビューをさせていただきました。

http://sniper.jp/300special_issue/3009adultmedia_for_woman/av24.php


オナネタが村上春樹というのが個人的には衝撃でした……! ゆきさん、非常にしっかりした意見をお持ちの素敵な女性でした。ありがとうございました!