暗い青春、ねじれの女

 下のエントリのコメント欄で、姉ちゃんの容姿と非モテコンプレックスについてご質問いただきましたので、お答えいたします。姉ちゃんが容姿を人からホメられるようになったのは、25歳の時からで(安野モヨコの「美人画報」ぐらいにはバケた)、それまでは25年間親や親戚から「ブスだから勉強して手に職つけろ」と言われ続けて育ちました。進学校行って塾通って、早稲田に受からなきゃ東京になんか出さない、とか言われてさー、でも進学校の中では勉強できない方なんですよ。早稲田も落ちるしさ(結局強引に東京に来ました)。早稲田に行くために浪人するヤツまでいるような環境の中(「早稲田か慶應以外は大学ではない」みたいな雰囲気だった! それ以外の学校に進学する人は「妥協」って顔してましたね〜。ちょっと沈鬱な感じで溜息ついたりして)当時はほんと、自分には何のとりえもないって感じがしてました。クラスの中では頭悪いしブスだし、恋愛の話題にすら入れてもらえなかった。クラスの中でつきあってる男女のことを、私だけが知らなかったり。イジメられていたわけじゃないけど「みんなからバカにされている」という気持ち(たぶん半分ぐらい被害妄想と自意識過剰)からずーっと逃れられず、耐えきれなくて学校早退して動物園行ったり。動物だけが友達ですよ! 動物はかわいいなぁ……人間と違って。当時の同級生(数人の友達をのぞく)には全員死んでほしいって今でも思ってます。いい年してまだそんなこと思ってるのかって感じですけど。

 それで大学行ったんですけど、大学卒業までの学生生活で男女交際みたいなものもしたことがなく、コンパやサークルで楽しく遊びまくってヤリまくる同級生たちを尻目に、暗〜いコンプレックスと性欲のかたまりみたいな青春時代を送りました。処女喪失もハタチ越えてからで、まぁそれもなんか、よりによってそんな……って感じの情けないイヤ〜な喪失具合で、そこから長いこと「楽しいセックス」っていうのには無縁でした。当時を振り返ると、なんか汚いカッコしてるクセに、イタいセックスやってるってだけで「私はあなたたちと違って苦しんでる、何かを成し遂げてる、今、私、生きてる!」みたいな顔してるイヤな女いるじゃないですか。ああいう感じだったと思います。

 そういう暗い情熱からAVを観始め、セックスに対する強いコンプレックスからこの仕事を選んだというのは、その通りだと思います。今でこそ女装というか、女として開き直る気持ちが出てきて、バケるのが上手くなり、面と向かって「ブス!」とののしられるようなことはなくなりましたが、昔の非モテ時代のコンプレックスとか、恋愛やセックスからのけものにされていた感覚、容貌についてのコンプレックスは根強く私の中に残っていて、「美人ライター」とか言われるとほぼ反射的に心の中で「死ね!」って思ってしまいます。劣等感の記憶が強烈すぎて、容姿やモテ階級に関することを、仕事の場で出されることにものすごい嫌悪感と恐怖がある。エロ本の仕事でずっと顔写真を出さなかったのは、そのためです。しかも、実は非モテコンプレックスを心の中にずーっと抱えているので、「誤解されている」という気分にもなる。非モテと思われない容姿になることでコンプレックスをある程度克服したと思ったら、今度は誤解されることにムカムカ来ているわけです。「雨宮さんはモテていいですね〜」とか言われてさ、今度は「非モテのメンタリティを持ってるということを信じてもらえない」という段階に来ちゃったわけです。非モテからさらにもう一段階ねじれて、姉ちゃん自分でも自分のキャラをどう説明したらいいのかわかりません。非モテとしての説得力を失い、でもモテをネタにするほどはモテてないという中途半端な状態なんで、いろいろフクザツなのであります。どうでもいいといえば、どうでもいい話なんですけどね。

 じゃ、気を取り直して素敵な女の子の話でもしましょうか。

「ナースで8連発ごっくん」倖田梨紗(h.m.p)

 好きなんですよ倖田梨紗! 前に別の作品で彼女が男優さんに「梨紗ちゃん、今何やってんの?」って聞かれて「ん〜、きじょうい〜」って腰動かしながら答えた瞬間から好きになり、今では彼女がネイルアートバリバリの爪でバイブ持ってズボズボ動かしてるだけで幸せな気分になります。今作はナースの梨紗ちゃんが医者や患者とまぁ、タイヘンなことになるというよくあるアレですがやはり名シーン満載。右手をケガして「右手つかえないと困る〜……」(一瞬黙って唇とんがらかして上目遣いしてから、医者の耳元に顔を寄せ、ささやき声で)「オナニーできないもん」とか「りさイボ痔の患者さんって初めてなの! 見せて〜! おねがい〜見たいの〜!」とかさぁ……。もうわかってても「ダマされたい、ダマしてくれ! ダマしてダマしてダマしまくってくれ!」と思ってしまうほどの舌足らず&頭カラッポの魅力。何にも考えてないっぽくて、ギャルで明るくてカワイイっていうのは、ありそうでいて実は非常に稀で、たいていはどこか恥ずかしそうにやってたり、イヤイヤ言わされてるのが見えたり、明るいギャルをよそおってても実はバランス悪そうなのが伝わってきたりするものなのだが、倖田梨紗にはそれがない。セックスもいい意味で慣れた感じで、セックス自体が肌になじんでいてすんなり抵抗なくエロ行為に進んでいるのがイイ。頼むから「実はすごい賢い」とか「実は普段は全然キャラ違う」とかいうオチは、もしホントはそうであっても見せないでほしい。(関係者の人も私に言わないでください)りさちゃんは「りさはぁ〜」って舌足らずに話すりさちゃんのままでいてくれ! かしこぶってバカな女のコは可愛くないが、バカそうで明るくてセックス好きな女のコというのは、本当に天使のように見えてくる。ギャルだけど下品じゃなくて清潔感ある、というのも重要なポイントなのかもしれない。スタイル良くてカラダも非常にキレイ。まさしくAVアイドルと呼びたい逸材です。