★最近めずらしく本数の多いAVレビューのお仕事をいくつかいただいたので、軽く目がかすむほど観たんですが、光月夜也(ファンです)『誘惑女教師』(プレミアムhttp://www.premium-beauty.com/works/-/detail/=/cid=pgd342/)と、天海つばさ『学校でしようよ!』(アイデアポケットhttp://www.ideapocket.com/works/-/detail/=/cid=iptd514/)がダントツにクオリティ高くエロくて、どっちも宇佐美忠則監督でした。


 女教師モノも、女子高生モノもAVでは定番中の定番すぎてもうひねってもひねっても新しいアイデアなんて出そうにないと思ってたんですが、「生徒と先生」「生徒と生徒」「教師と教師」というベーシックな関係のみで、それぞれの女優さんの魅力をきっちり引き出すアテ書きのキャラ設定が見事で、いいんですよ。天海つばさちゃんの場合は「私、恋愛とかよりエッチにしか興味ないんだよね〜」「セックス下手な人とはつきあいたくないから童貞クンはダメ」とか言い切っちゃってるのに、ビッチでイヤな女にはならない。エッチ好きで裏表のない、ちょっと生意気で意地悪なカワイイ女のコに見える。だって、セックス楽しんでるし、そこに「ヤッてるほうがエラい」とか「モテない男はダメ」とかいう見下し視線はないんだよね。ただ「セックス上手い人と気持ちいいセックスしたい」っていう、無邪気な動機があるだけで。で、この設定からラストシーンへのもってきかたがもうホント見事。ちょっと感動するね、これ。天海つばさちゃんの演技もいいし、セックスもフルパワーで甘えたり焦らしたり、きっちり魅せてくれます。


 光月夜也さんの場合は、そのクールビューティーなルックスから誰もが連想するであろう「冷たそう」なイメージを活かし「生徒に容赦なく厳しい女教師」という役なんだけど、同僚の大島先生に「ちょっと厳しすぎじゃないですか? 光月先生、いつもイライラしてて……。もしかして欲求不満なんじゃないですか? セックスしてます? 先生くらいの年齢の女性は、適度にセックスしないと良くないみたいですよ〜」みたいなセクハラ発言を冗談混じりに投げられるや否や、深刻な顔でうつむいてモジモジし「あ、あの私……してないんです」「はい!?」「だから、してないんです、セックス……。一年ぐらい(←この「一年」っていうのもリアルな数字だなぁ……)」って言って、いきなり勇気を出して大島先生を押し倒しにかかるんである。この「普段マジメだった女の先生が、男を誘うのがヘタでヘタでどうしていいかわからない力技な感じ」のぎこちなさがすごい出てて、それまで厳しかった光月先生が一気にかわいくなってしまうんです。


 光月夜也さんのセックスの本気ぶりは、復帰作からもう見事なものでしたが、この作品でもそれが十二分に活かされており、演技も本当に上手い。厳しい女教師から、だんだん人当たりが柔らかくなっていく変化を見せる微妙なところをスムーズに見せている。光月夜也さん、復帰後のほうがスタイル良くて(ポールダンスで鍛えた、贅肉ひとつない綺麗なカラダです)、もともと美人だけど磨きがかかってて、さらにセックスも良くなってて演技も上手くなってるって、ほんとおそろしいほどの大復活です。しかも、大島先生とのセックスを思い出して翌朝の廊下でニヤニヤ一人で思い出し笑いとかしててほんっとかわいい。


 どっちも「エロい」んですが、続けて観るとやっぱり天海つばさちゃんは「若いエロ」なんです。感じ方とか、セックスの反応が。若くてイキイキしたフレッシュな反応なんですよ。それに対し光月さんは「大人のエロ」なんです。反応が濃厚で、ちょっとした仕草や視線の絡み合いとかにまで性的な感じが漂って、トロけっぷりももうトロントロンに溶けちゃう感じ。柔らかくて粘着質なエロっていうのかな。どっちのほうがいいって話じゃなくてどっちもいいんですが、その良さがうまーくこう、設定にハマっているし、引き出されているんです。たぶん二人とも、何の設定もない作品でも一定レベル以上のエロを見せられる女優さんだと思うんですが、せっかくいい素材があったら最高の料理人に調理してもらって、気持ちいい空間でじっくり味わいたいのと一緒で、いい女優さんほどその良さが引き出される設定で、存分にその良さを味わいたいじゃないですか(誰に同意を求めているのか)。そういう意味で、この二作は熟練した監督の手で本当に丁寧に撮られた、すばらしい作品だと思いました。たぶんスタジオが二作とも同じだと思うけど、そんなことはいい!


 二作品とも、見終わってすぐに監督名を検索したのですが、二回とも宇佐美監督の名前が出てきたときは、思わず画面を拝みましたね。たまたま別件でちょっとひどい作品(制作側が手を抜きすぎという意味です。ヤラセなんだけど、ヤラセを隠そうともしてなくて、しかも別にAVライターじゃなくても、今日初めてAV観る人が観ても「おかしくない?」ってなる部分がいくつもある。しかもエロくない……。予算ないとかそういう話じゃないんですよ、売れてるところだし。お金じゃなくて観せる誠実さがあまりにもない)を観たあとだったので、心が最新の斜めドラム式洗濯機でガンガン洗われていくような感覚を味わいました。いやー、観られてよかった。AVってほんとにいいものですね。ではではでは。