ゲロ浣腸作品が一位を獲ったことに関するちょっとした考察

 『AVグランプリ2009』(http://www.av-gp.com/)の「配信売上賞」が、ドグマの『ゲロ浣腸エクスタシーX』(星月まゆら、大沢佑香)だったことに「えっ、ゲロと浣腸で一位!?」と各所から驚きの声が上がっているようですが、このことについてつたない分析をこころみたいと思います。


 まず、浣腸というのは主流ではないのですが、マニアっぽい世界では数年前から静かなブームになっていました。ゲロ作品、浣腸作品というのはそんなにむちゃくちゃいっぱい出ているわけではありません。少々流行ったところで本数あんま増えないです。ゲロ、浣腸好きの人たちが「ゲロ吐いてても、この娘じゃちょっと」とか「もっとカワイイ女の子たちがたっぷり浣腸してるのが見たい」と思ったりしているところに、人気女優二人のゲロ浣腸作品が投げ込まれたら……という予想がまずできます。


 あと、マニア系の作品はだいたい値段が普通のAVよりも高めになっていることが多いです。配信でさらに安く観れるんだったらもう「激安」の域でしょう。だってダウンロード価格1980円ですよ。ゲロ浣腸作品にしては安すぎます。しかも星月まゆら&大沢佑香コンビのゲロ浣腸でこの値段は、通常ではあり得ない安さなんじゃないですかね。


 『AVグランプリ2009』は、参加作品が97作品とあまりにも多いため、一般AVファンが買うものがバラけまくる中、マニアの人が一カ所に集結したら人数で勝っちゃった、ということなのかもしれません。


 というのはまぁ、マーケティング事情にうとい私のゆる〜い予想ですからおいといて。


 「浣腸」とか「ゲロ」とか、「スカトロ」とかいう世界は、一部の強力で熱烈なマニアの人たちに支えられているという風に考えられていますが、私はたまに「それだけじゃないんじゃないのかな?」と思うことがあるんですね。


 私が投稿雑誌の編集者だった頃(10年前ぐらいですかね)に、編集長が周り(私と副編集長)のさりげない反対を押し切り「これで見開き2ページいける!」と、素人女性が見事な一本糞をしている写真を採用したことがありました。


 私は内心「こんなんじゃ抜けないよ……」と思っていたのですが、出来上がったその号を見て考えが変わりました。すごいんです、そのページ。インパクト強すぎて「うわっ!」と一旦閉じるんだけど、じわじわっと開いてこそっともう一回見ちゃうような吸引力があって、強烈に印象に残るんです(そりゃ、いまだに覚えてるくらいですからね。絶対忘れられません)。スカトロは苦手な私ですが、「エロ本ってそういうことじゃないんだ。若くてかわいい女のコの写真だけいっぱいのっけてればそれでいいってもんじゃないんだな」ということは、漠然と感じました。読者のニーズに応えようとするだけでなく、読者の意表を突くというか、びっくりさせるというか、そういうことも必要なのかもしれない、と思ったのを覚えてます。まぁ、投稿雑誌というのはもともとどちらかというと「マニア誌」ですから、すべてのエロ本でうんこ出しとけばいいってもんじゃないと思いますが、「びっくりさせ方」は本によって違うでしょうけど、読者の予想外のものをバーン! とぶつけることは、ちょっと大事なんじゃないかなと思うんですよね。


 その号のアンケートハガキには「うんこはやめろ」「スカトロ載せるな」と書かれたものがいっぱいありましたが、それだけ印象に残ったということでもあるわけで、それだけ話題にされればこれは「編集長の勝ち」なんだと感じました。「こんなもん載せるな! 金輪際買わない」ならわざわざハガキ送らないでしょうし、「気持ち悪い」と思いつつも「すげー雑誌だな」という印象を持った人もいたと思うんです。あの写真一枚で「何だろう……スカトロは嫌いなハズだったのに、なんかこの写真には興奮する……」と脳の新たな領域が目覚めてしまった人もいるんじゃないかと思います(←全部希望的観測ですが……)。


 コンビニ売りのエロ本でも、シミ付きパンティ実物大写真とかいうエグいものがけっこう頻繁に登場してたりしますし、「キレイ、カワイイ」だけが「エロ」じゃなくて、どこか「うわっ」という、見ちゃいけないようなものを見ることが「エロ」につながる回路があるのではないでしょうか。普段「見たい」と意識したこともないんだけど、それを見せられるとドキッとしてしまうとか。


 思うんですが、エロを求める気持ちの中に「自分の知らない、ものすごいものや快感を見てみたい」という気持ちが、ちょっとあるんじゃないか。冒険心とか、こわいもの見たさとか。「ショックを受けたい」という気持ち。過去の死体写真や奇形児写真などの本の流れがエロにつながってる部分があるのは、エロにそういう側面があるからじゃないかなと思ったりもします。


 スカトロやゲロが好きな人が買う、というのが一定数あるとして、それに加えて「なんかわかんないけどこれ、ちょっとだけ見てみたい」「すごそう」と1980円分の冒険をこころみた人がいたんじゃないでしょうか、ね。


 まぁ、これも「そうだったらいいな」という域を出ない話です。ただ一本糞の思い出について書きたかっただけのような気もしますので、あんまり真に受けたり、参考にしたりしないでくださいますようお願いしておきます。