AVでもやっとする瞬間

先日、仕事で今月発売の新作『湯宿の女流作家』(有沢実紗主演/川崎軍二監督/マドンナ)を一足お先に観せていただいたのですが、すごい気になることがあってですね。
AVのドラマものは、基本的に女優さんのギャラが高いので、登場人物の中で女は主演の女優さんひとり、あとは男優さんという組み合わせか、主演女優以外の女性が登場する場合はその女性とのレズシーンか、その女性と男優さんが絡むシーンが出てくることがほとんどで「脱がない」または「脱ぐけどヤラない」女性が、ドラマの中に登場することはあまりないのです。
しかし、川崎軍二監督といえば、AVの世界ではベテラン中のベテランのドラマ監督であり、そこに賭ける情熱もハンパないわけです。脇役に女がいないドラマって、確かにヘンですし、脇役に女がいなければ成り立たないドラマというのもあるわけで、どうやら川崎軍二監督は独自にそういう「AVに出てもいいけど、脱がないよ」「脱いで裸見せるぐらいならいいけど、ヤラないよ」という女性のつてがあるようで、「あ、この人前も出ていたな」という女性をときどき見かけたりすることがあります。
で、この作品にもやたら色っぽいけど控えめな雰囲気の女将が登場し、主役の女流作家(有沢実紗さん)と一緒にお風呂に入るシーンがあって、身体を洗いながら二人で会話するのですが、その会話がこちら。
作家「ねぇ、もうご主人が亡くなってどれくらい?」
女将「もう8年になります」
作家「じゃあ、女の悦びはどうなさっているの?」
女将「……指ですることもあるんですけど、私を抱いてくれるお客様がいらして、年に二、三回、私を女にして下さるんです」
滋味深い会話ですねぇ。恥じらいながらそんなことを口にする女将にグッと来て、このあと「女将のサイドストーリー、出てこないかな〜」「でも女将の愛人がやってきて、このやたらと積極的な女流作家に寝取られるとかいうダークな展開になったらイヤだなぁ」とワクワク&ハラハラしながら観ていましたが、女将のそういうお話は一切ないまま終わってしまいました。うう〜、もやもやするなぁ。スピンオフ作品出ないかなぁ。『湯宿の未亡人女将』……。
でも、こういうもやもやって、いいなと思うんです。チラッと出てくる登場人物の背景や、これまでの人生、今送っている生活をいろいろ想像してしまうって、ドラマとしては一流ですよね。女将がたとえ本番シーンを見せてくれなくても、私は女将とその馴染みのお客さんとの、年に数回の逢瀬のドキドキ感や、馴染んだ関係ならではの柔らかく温かい感じとか、いやらしい感じとかを想像しちゃうわけで、そういう人生もいいな〜とか(何妄想してるか知らないけどお前とりあえず女将じゃないし、だいいち女将の器じゃないぞ!)思ったりするわけです。
あと、きわどいところはありつつも、私が観た川崎監督の作品は、どれも結末が不幸にならないところも好きですね。ダークでドロドロしたドラマも好きなんですけど、川崎監督の作品はいやらしさの根底に「セックスを楽しむ陽気さ」みたいなものがあって、なんとなくポジティブな印象を受けます。この作品にも、一歩間違えば刺すの刺されるのになりそうな部分があるのですが、そうはならずに和やかにお話が進んでいって、みんなセックスを楽しんでいるんですよね。もちろんAVだからというサービスの部分もあるのかもしれませんが、この根が明るい感じは、観ていてやっぱり楽しいです。ストーリーの中に、茶目っけや遊び心があるからなんでしょうか。
女将のそういうシーンはないですが、主演の有沢さんのエッチなシーンはたんまりありますし、有沢さんのすごいパーフェクトなボディラインも堪能できる上に、一カ所ものすごく好きな設定が出てきたりして私は満足いたしました。ゆ、ゆきずりの肉体労働者とクーラーもない汚いアパートの畳の上で……。いいですよね!(誰に同意を求めているのか)