BOZU

 BOZU監督について、私が言いたいことはただひとつ、簡潔です。BOZU監督は、ワープ最大の「鬼っ子」だと思います。DRAGONS GATE二期生には鬼っ子めいたメンツがズラズラ揃っていますが、そういう奇抜で奇妙な味とは違い、BOZU監督の「鬼」ぶりはもっとストレートです。正直、イベントでお顔を拝見した時は、そんな人だと思ってませんでした。気のいい兄ちゃんって感じだったのに……。作品はちょっと、もう、近所でヒソヒソ言われちゃうような感じです。「そんな人には見えませんでしたよ、ちゃんと挨拶もする、いい青年でしたけど……」姉ちゃんも思わずひとりつぶやきました。でも、いい青年じゃないんです。すごい、いやらしい。私の推測では、ワープで一番性欲が強そうな感じです。だってプロフィールにこんなこと書いてあるんですよ。

 「第二のマンコと勝手に解釈をしているアナルとお尻には異常な執着をもっている。プリッとしたお尻でアナルに指を突き立ててよがる女がいれば絶対に彼女にしたい」

 な、なに! この文章! なにをアッピールしてるのでしょうか。今モニターの前で疼いて前屈みになった女性、自分のお尻の形を思い出して頬を赤らめた女性、未開発なアナルの性感の可能性に思いを馳せて脈の音が聞こえちゃってる女性、気をしっかり持って、とりあえず膣の筋肉をゆるめてください! はー、いやらしかったですね。しかも「早漏が悩み」とか書いてあります。これは……本物だ! 本物のSの人だよ! SM界の大物調教師、志摩紫光先生もビデオではその……けっこうお早めでいらした記憶がありますし、Sの男性というのは、S度が強くなればなるほど、セックスは弱く、小さく(何がだ)なっていく場合が多いんであります(BOZU監督がどうかは存じません。っていうかこんな昔に書かれたプロフィールを今さらいじってすみません)。

 けど、BOZU監督は「SM」とか「調教」とか言いださないから余計にいやらしいんですよ。そして作品も、「SM」とか「調教」とか言いださないで、恥ずかしがらせて悶絶させて、イジメてるからいやらしいんです。「SM」という形式美の世界になっちゃえば、実はそんなに恥ずかしくないのに、BOZU監督はSMの世界に女を逃がしてはくれないのです。「マゾ」になれず、「スケベ女」と呼ばれるしかないのです。「マゾです」っていうのは、飲み会でも打ち合わせでも平常心で言えるんですよ。でも「スケベ女ですぅぅっ!」っていうのは、セックスの場でさえ、なかなか言えないと思う。BOZU監督の作品は、もうSMの世界に行って「マゾです」って言っちゃいたいのにガチッと足首掴まれて「マゾじゃねえだろ、スケベだろ! お前こっち側の人間だろ!」と責め立てられているような感じがするんです。変態的な部分もあるけれど、それがセックスと分離しないんです。あくまでもセックスありき(アナルセックス含む)の変態。だから理解できるし、ひとごととして切り離せないから、一人で見てても周りをキョロキョロ見回してしまうような恥ずかしさがある。

 弟よ! おまえはこの前生意気にも「最近女の人が責めてくるビデオが多いやん? ああいうのダメっちゃんね」とか言っていましたね。そして「でもSMじゃダメ」だとも。姉ちゃん、おまえの言いたいことはよーくわかったし、BOZU監督を勧めたい気持ちはやまやまだったのですが、あまりにも姉ちゃんの性癖にバッチリな作品のため恥ずかしくて勧められませんでした。おまえも姉ちゃんが使ってる作品を使うのは、間接近親相姦みたいでアレだと思うので、紹介するのは一本だけにして、おまえの選択の幅をなるべくたくさん残しておきたいと思います。