お知らせ、および古野まほろ

ソフトバンクのCMに出ている黒人が、ものすごくタイプ。色黒好きではあったけれど、ついに黒人まで来てしまったか……。しかも銀縁! 俺の選ぶ今年のベストメガネ男子は彼に決定ですよ。いや〜、キャメロン・ディアスといい、ソフトバンクは俺の心のツボをガンガンに押してくるね! ソフトバンクが人格だったら一生離れられないくらい惚れてるね! お父さんが犬なのはやりすぎだと思ってるけどそんな欠点すら魅力に見えちゃいそうです。


★来週幕張メッセで行われる「ADULT TREASURE EXPO 2007」(http://www.adultexpo.jp/main.html 前売り券発売中)ですが、27日、2時から約一時間ほどトークを行います。詳細決まりましたのでお知らせします。


演題「女性のためのアダルト業界就職講座(男性も歓迎)」

講師・雨宮まみ(AVライター)

場所・幕張メッセ

日時・27日 2時より約一時間


※上記タイトル通りの内容となりますので、求人中のAVメーカー、エロ系出版社の方がいらっしゃいましたら、当エントリのコメント欄に書き込んでいただくか、雨宮あてにご連絡ください。当日の講座中に「今スグ受けられる求人情報」としてご来場の方にお知らせいたします。当日来ていただいて「ウチも求人してます」と雨宮に耳打ちしてくださっても結構です。入社の条件、年齢制限などありましたらお書き添えください。


 AV業界、エロ本出版社に就職したいと思っている方々はぜひお越し下さい。質疑応答の時間も設けるつもりなので、この機会に質問のある方もぜひ。ちなみに27日はクレイジーケンバンドのライブがありますので、ライブ目当ての方もどうぞ。今回、なんと主催者サイドより「プロジェクターは使えません」という返事が来たので、AVJもできず、正真正銘単独しゃべりの50分になりそうです……。真剣三十路しゃべり場。人前に出るのも4回目まで全部マイクを持つ手がふるえてたほどにチキンハートな姉ちゃんですが、まぁ、わざわざ私を目当てに来る人は多く見積もっても5人ぐらいなので気楽にいこうと思います。みなさんも椅子を横に三つぐらい取ってダラーンと寝そべるぐらいの気楽な気持ちで来てください。そして緊張して声が震えてハウリング・ヴォイスの出来損ないみたいになってる私の哀れな姿でも見物してください。


 次に出る『nu』に、「小さな場所で語られることば」と題していくつかのトークイベントを観た感想を書いたのですが(発売はまだです。あらためて告知します)、私はトークイベントって、すごく手の抜けない場所だと思っているのです。有名な人が出ていても「面白くない」イベントもあるし、「面白そう」な人が「面白そう」なことをやるからといって、それが必ずしも「面白く」はなかったりする。自分も、去年から何度か色んなイベントに出させてもらって、緊張してぜんぜんしゃべれなかったこともあったし、いいこと言えたとも思えないけど、だからこそあまり適当な気持ちではいません。少なくとも一回分の原稿を書くくらいの労力や知恵はしぼりますし、気力も使います。しゃべるだけで価値があるほど有名でもなければ、何かを成し遂げたわけでもないので、ちゃんとしゃべらないと面白くなる可能性なんてひとつもないですから。幕張、都心の皆さんは少し不便に感じるでしょうが、夏のご予定のひとつに入れていただけるといいなと思います。


古野まほろの二冊目「天帝のつかわせる御矢」を読了。はふぅ面白い。床に敷き詰めてその上を存分に寝返り打てるほどに最近講談社ノベルスの売り上げに貢献している私ですが(厚さが揃わないから寝返ると痛い。特に京極夏彦のところが痛い。背中のツボに角を当てると丁度良い)、シリーズ終わっちゃったらどうしようと今から心配しているほどに面白いです。


 ルビの多用にフォント変えと、「そーゆーの」が苦手な人(にはまっさきに拒絶されそうな本ですが、好みは分かれると思うけど、もうね、何この他人事とは思えない主人公。主人公はブラスバンド部に所属する高校生の「古野まほろ」君。彼は、美しいものをとてもとても愛していて、それゆえに自分の容姿の醜さを愛せないでいる。自分を恥じている自分を愛せないし、そういうふうに自己嫌悪している自分のことが嫌い。という自己嫌悪スパイラルの罠。にずっぽりハマっている。彼には、どくどくと湧き上がる性欲があり、美しいものが好きなゆえに美しい女に目がなく、でも自信がなくて飢えているがゆえに欲望にアッサリ負けたりとかさぁ、するわけですよ。そのために色んな大切なものを裏切ったり、取り返しのつかないことになったり。そしてまたそんな愚かな自分に嫌気が差して、死にたい気分になったりする。


 話はこの世界での現代の話ではないのに、いまの歌やいまの本やいまの技術が出てきたり、かと思えばここは昭和初期かというような設定が出てきたりと、そのめちゃくちゃなミックスぶりに嘔吐感をもよおして読み進めなくなる向きも多いようです。一冊目の「天帝のはしたなき果実」のカバーに書かれている有栖川有栖氏の推薦文で「虚無への供物」に触れられていますが、ああいう(中井英夫塚本邦雄が書いたミステリのような)絢爛な様式美をまといつつも現代的なジャンクさがふんだんに盛り込まれている感じが最高なんです! なんだこれマジで。十年後に読んでも意味わからないかもしれないから今読んでおいたほうがいいと思うよ! この小説が騒がれにくいのも当然で、この小説を形容する言葉が、まだこの世にはないんです。本格ミステリ? そうだけどさ、これを本格ミステリだと言ってしまうとそこからこぼれ落ちる多くのものがある。じゃあ新本格ミステリ?(笑) 青春物語と言ってもいいけれど、それも足りない。果物の上にスポンジとアイスクリームと生クリームを乗せてさらに果物を乗せたものを「果物」とも「アイスクリーム」とも「ケーキ」とも呼べないように、これもそういう単品の呼び方では呼べないんです。いや、呼べないうえにそれを床に全部ブチまけてその上を裸でのたうちまわっているような作品なんですよね……。嫌いな人にはゴミ以下でしょうし、好きな人にはよだれが止まらない。「衒学的だ」との評価もありますが、衒学的と言うにはあまりにもジャンク。ほんものの知識人じゃなくて、知識人の衒学趣味が好きな人が茶目っ気でそれをやってるような感じ。


 どんな文体かのぞいてみたい方は、こちらの書評をどうぞ(「……いったいどんな本なんだ」という気持ちが高まると思います→http://blog.taipeimonochrome.ddo.jp/wp/markyu/index.php?p=996)ネットで検索していろんな方の感想を読んでみたのですが、「あまりにも評判が悪いので逆に興味が湧いた」「至高の体験だった」「無駄に長すぎて全然終わらない」(※京極クラスの厚さのレンガ本です)「微妙」と絶賛から地雷扱いまで賛否の落差が激しいです。ムチャクチャ言われてます。私は普段あまり変な文体って好きじゃないし、どっちかというと大嫌いなほうで町田康でさえめちゃくちゃ抵抗あるくらいなのですが、なぜかこの作品に限ってはその憎しみが強烈な愛情へと反転したみたいですね。「うげらぼあ!」とかもう、ナチュラルに普段遣いしたい気分になってますもん。大嫌いなものが大好きになる。というのは、よくあることです。未映子さんの文章も最初は「うわ!」と思ったけれど、今は音読したいくらいクセになっている。人生わからない、のではなくてそんなことはよくあること。なんですね。


 私は最近、暗い長いトンネルの中を歩いてすらいない気持ちでいる(体育座りな気持ちです)のですが、よく考えたら人生のどん底みたいになるのは夏が多くて、夏がいちばん好きな季節なのにそんなふうになるのは不思議だと思っていたけど、好きな季節だからそういうふうになるのかもしれない。まわりが好きなもので満たされれば満たされるほど、自分の嫌いなところが許せなくなっていくのかもしれない。そういう気分に、古野まほろの作品がぴたりとはまったのですね。憧れと怠惰と愛情と、閉塞感と自己嫌悪と、ばたばたもがくような気持ち、強烈に楽しいことをして遊びたい気持ち、及びそれができないフラストレーションが溜まっている状態に。春から、自分の中で死にかけている部分があって、思い切って殺してもいいのか、それとも生かしておいていいのか、よくわからないのです。いきなり3キロ減って、今少しずつ元に戻りつつあるから、もしかしたらもう何か死んで、違うものが生まれているのかもしれない。ふ、増えたくないけど……。体重……。死にっぱなしでいいよ!