広島バッグ・ハンティング

★現在発売中の『STUDIO VOICE』オカルト特集号に「スピリチュアルと女子」というテーマでコラムを書いてます。よろしかったらご一読ください。


★先日、広島&宮島二泊三日の旅に行ってきました。もうスピリチュアルの人と呼びたかったら呼んでくれていいよ……とあきらめ混じりにつぶやきたくもなるこのパワースポット巡りっぷりですが、非常に楽しかったです。


 まず一日目の広島ですが、テキトーに流すつもりで散歩していると、人気の少ない路地にあるわあるわセレクトショップ! シアタープロダクツの服なんて新宿高島屋よりあるんじゃないかというくらいあるし、大手の(ユナイテッドアローズビームス系列の)セレクトショップではない、個人のショップが多くて、個性豊か。さらに地元の手作り作家の雑貨を扱う店や、職人さんの作った革製品を扱うシンプルでシックで品のいいお店があったりして初日からATMに行くハメに……。インポートもののセーターを買ったんだけど「代官山にも取り扱い店ありますよ〜」と言われてガクッ。でもなぜか代官山に行くのはめんどくさくても広島に行くのは、めんどくさくないのよね〜。旅の不思議です。


 さらに手作り雑貨のお店で、布のバッグを買うかどうか悩んでいると、修学旅行生らしき女子中学生の集団が入ってきて「きゃー! かわいい!」「え〜何これ、何!? めっちゃかわいいんやけど〜!」「どうしようもう私お金ないよ〜」「私、お母さんに五千円もらったよ」「え〜○○ちゃん、借金していい?」「いいよ〜」「じゃあみんなでお揃いでこのポーチ買わん?」「え〜かわいい! 何色にする?」「これ、このボンボンもついとるんかな?」(ここで店員登場)「そのボンボンは別売りで、340円となっております」「ええ〜!(全員の悲鳴)」……もう「いいよ五人分! そのボンボンブローチ私が買ってやるよ!」と言いそうになりました。中学生の頃のお金のなさとか、かわいいものに対する尊い気持ちを思い出して、じっくりものを選びましたよ。


 そして問題はその後! 私は最近、茶の革のバッグが欲しいな〜と思っていたのですが「あ、これかもしれない」と思うバッグに出会ったのです。お値段約3万円。買っちゃえよ〜と言いたいところだったけど、その前にもいろいろ買い物してたもので「一日に○万、しかも旅の初日にいきなり使うのってどうなの……」と思いとどまり、「ちょっと考えてやっぱり欲しかったら、新幹線乗る前にもっかい来ればいいや」と思って、翌日宮島に行ったのでした。


 宮島では錦水館という旅館に泊まったのですが、ここには図書室があり、厳島神社に関する本から『はだしのゲン』など広島ゆかりの本が並んでいて、ほほう、と思いながら見ているとだんだん毛色が変わってきて「深澤直人」とか「ナガオカケンメイ」とか「安藤忠雄」とかいう人名が目立ち始めて、後半はめっちゃデザイン関係の本ばっかりに! さらに近田春夫『考えるヒット』の近くに白洲正子の本が置いてあるなど「この本の中でこれに触れてあったから、ついこれも読んじゃいました」な流れが見える配置にニヤニヤが止まらない状況に。なんだかもうこの本棚だけで「いい宿!」という感じがヒシヒシと……。いや本当にいい宿でした。しばし物欲を忘れるひとときでしたがその間は牡蠣、穴子、牡蠣、栗と食欲に支配されておりました。夜の大鳥居、かっこよかったな〜。そして「揚げもみじ」というもみじまんじゅうを揚げた、いかにもカロリー特盛りなおやつにはまって何度か食べに通うハメに!


 ようやく広島市内に戻り、例のバッグの店に行こうとすると、そのお店はなんと火・水・木が定休日! 私は三日間えんえんそのバッグのことを考え続け、金曜日の開店と同時に店に電話をしてみるも「通販は行っておりません」。撃沈……!


 しかし、三日間考えつづけたものだからもうあきらめがつかないわけです。どっかであのバッグ、扱ってるお店はないものかと思い、お洒落な友達に「都内で、革の手作り系のバッグを扱ってるお店知らない?」といきさつを話してみたところ「じゃあ広島に友達いるから頼んであげるよ〜」と言われました。ぶっちゃけ最高に心が揺れた!(震度4を観測) けどさすがに見知らぬ人のお手を煩わせてまで買い物するってどうよ!? と思っていたら、その前に会っていた友達が、私の「こういうやつだったの! ここがこうなってて、こう!」と説明しながら描いた絵と店名、ブランド名をもとにその品を特定し、さらにネット通販をやっている他のショップまで探してくれていた!(結局人の手を煩わせてますよ〜) 結局、まったく同じものは完売していたのですが、ほぼ同じデザインのちょっとだけ違うバージョンのブラウンの購入ボタンをボチッ! 押した瞬間に「売り切れ」になってました……。数秒の迷いが命取りに! ハァ〜怖いわ〜。ほんと、一個ずつ職人さんが作ってるから数がないみたいです。というわけで、思いのほか多数の人を巻き込んで(みなさんお騒がせ致しました)繰り広げられたバッグ・ハンティングでしたが、今は静かにお茶をすすりながら飛脚便が運んでくるのを待つのみ。楽しみだわ〜。


 実はこういう感じの革のバッグを買うのは初めて。今までも革のバッグは買ってるし持ってるんですが、だいたいエナメルやクロコの型押しなどギラついた革モノばかりで、色も黒とか赤とかの「夜!」な感じ。職人さんが手作りしてるナチュラルな革のバッグなんて、持ったことがない。に、似合うのかな〜。でも、新しい相棒が欲しい気分だったんですよ。


 教訓としては、そうですね「旅の買い物は瞬発力!」と言いたいところですが、私の買おうとしていたバッグ、てっきり茶色だと思っていたのにネットで調べたら実はワインレッドだったり、吟味して買ったつもりだったセーターも帰ってタンスに入れてみたところ似たような色のセーターがあったり(一度カフェに寄ってまで熟考したのに!)して、あながち瞬発力ともいえない気が……。まぁ気に入っているので失敗とは思わないけど、これにて今月の衣装予算はおしまい。あとは着るのみ! って、パワースポットに行ったくせに全然俗なまんまなところがどうしようもない感じです。


ちなみに私がバッグを買ったサイトはこちらです↓
http://www.rakuten.ne.jp/gold/sanpocreate/

ふふふ……みんなも惑わされるがいいよ!

※追記「SKR」というブランドのバッグでした。届きましたがやっぱり、すごくいい……! ちょっとくたっとした柔らかい革がお好きな方にはたまらないかも。広島のブランドなのかな? 届いてからベッドの上に置いて、チラチラ眺めています。雨が降りそうで今日は怖くて使えないよー!