べしゃり暮らし 9 (ヤングジャンプコミックス)

べしゃり暮らし 9 (ヤングジャンプコミックス)


★『べしゃり暮らし』9巻出ました。コンビニで買って電車の中で読んでたら泣けてきて泣いてたら隣の人があきらかにひいてて申し訳なかった。コンビニだからカバーかけてないし、こんなゆかいそうな表紙のマンガで泣いてたらびびるよな。すみません。そして9巻まできてやっと! という瞬間があって、鳥肌立った。これ描くの9巻まで待ったんだ、これ描くために9巻も費やして、と思うとまたぶわっと涙が……。


 私の周りでは、お笑いが好きな人ほど逆に『べしゃり暮らし』を読むのを避けていたりします。理由は「その中に描いてあるネタが寒かったら説得力がないから」。気持ちはわかる。お笑い好きだし、森田先生も好きだから逆に読めないっていうのもわかる。わかるが、これだけは知っておいてほしい。


 9巻の表紙の折り込みのところにある森田先生のコメントから抜粋します。「漫画的な表現の記号としての、たったひと筋の汗が作品の世界観を壊してしまうことがあるので、とても気を遣いました。汗には。例えば『ちゃうがな! 何でやねん!』という思いっきり否定のセリフを言う時、つい汗を描いてしまいがちなんですが、汗は天然のしるしであるので描いてしまったら本気の否定という事になります。つまり漫才のシーンや笑わせようとしてそのセリフを言ったのだとしたら絶対その汗は描いてはいけないんです。(中略)描くほどに難しいジャンルだなぁと改めて思います」


 つまらない心配はいらない。しなくていい。つまんなくて寒くなってるヒマなんてないから、一瞬たりとも。一巻一巻にこもっているもののすごさに打ちのめされる、おそれたほうがいいのはそっちのほうだ。ぬるい夢なんて口にできなくなる、それぐらいの迫力がこのマンガにはあり、同時に弱い人間の気持ちを助けてくれるところがある。


 9巻まででひとつの区切りと言える部分もあるので「完結してないマンガを読むのは先が気になるからイヤ〜!」という人(私だけど)も、読むにはいいタイミングだと思います。読んで。そして話をしよう。