★大傑作。私の日記などという自意識過剰でうじうじしたものを読んでいる人は全員読んだほうがいいですよ!

こんな私が大嫌い! (よりみちパン!セ)

こんな私が大嫌い! (よりみちパン!セ)



 中村うさぎの、いちばんの代表作と言っていい作品だと思う。これまでの死闘の結果、見えてきたものが書いてある。哲学や心理学に迫る勢いの、ひとりの人間の、とても個人的なことなのに普遍的なことが書いてある。突き詰めて、突き詰めて、突き詰めたからこそ書ける、ごちゃごちゃしてても美しい地平が見える。


 これは自己嫌悪の傷をえぐるような本ではない。中村うさぎさんがやってきた、はたから見たら破滅的にも見えたかもしれない、そういう行動をそそのかすものでもなければ、そういう行動をしなきゃわかんないよ、と偉ぶる本でもない。ものすごく冷静に丁寧に「なぜ自己嫌悪は起こるのか」、そして「自分を好きになれって言われても、そんなこと簡単にできない」、じゃあいったい、どうすれば楽になれるのか、少しでもこのつらい気持ちを緩和できるのか。ごまかしや無茶な努力や、自分を追い込むような方法ではなくて、どんな方法を使えば楽になれるのかが、書いてある。


 とても安易な言葉だけど、これは愛の本だ。中村うさぎさんほど優しい人を、私はほかに知らない。涙と嗚咽が止まらないです。素晴らしい本です。