★あまり時間ないけど、ひとつだけ。『女の罪』を、私もおもしろいとか書いたんだけど、他人事のように「女ってああいう感じだよねー面白いよね」って言ってる人を見るとものすごくむかついてしまう。浮気とか不倫とかバレて刺されろとか思う。観てる人は観てる人だから関係ないし、どんなふうにとらえてどんな感想を持とうと自由だし、いろいろ考えたけど端的に言うには「面白い」という言葉を使っただけかもしれないのに、反射的にカッとして、苦しみを見ないで笑うなよとか、あの女たちがなんであんな状況に陥ったかっていうと自分のバカさもあるけど半分は男が傷つけたせいだろって思ったりもして、自分の中にそういう得体の知れないうらみみたいな感情があることに驚いた。


 傷つけたほうは、傷ついたほうの気持ちなんて想像もしなかったりするし、そういう加害者に本当に思い知らせてやる復讐の方法なんてない、という絶望が自分の中にはある。傷つけ返そうとしても、相手が自分を愛してないかぎり、かすり傷ひとつつけることはできない。家出しようが、妻が愛人に危害を加えようが、本気で心配すらしないだろうし、別れることすらなんとも思わないんだったら傷のつけようがない。そういうことを考えると心が冷える。自分にも、そういう冷たい自己中心的なところはあるのに。バチなんて当たらない。天罰なんてない。最悪な目にあえばいいのにってどんなに願ってもそんなことは叶わない。つらい目にあったから次は絶対に幸せになれるっていう保証なんてない。そういう絶望的な気持ちを思い出すと、なんか身動きとれなくなりそうになる。わたしはひとつだけささやかな復讐の方法を知っているから、大丈夫だけど、他人事にはまだなれない。他人事でいられる幸せな人たちを、私は憎んでいるのかもしれない。