休もうと思って実家に帰った。父母祖母叔父みんな異常なほどやさしくてただ飛行機乗って帰っただけの私にありがとうとかえらいとか言っていたれりつくせりでもてなしてくれた。嬉しいしそれがどんなにありがたいことかよくわかるのに一人になれないのがしんどくていらいらして、そういう自分を最悪だと思った。


 東京に帰るリムジンバスの中には子供がいっぱいいた。


 好きな人と結婚して子供をうみたいと思っていたけど、うるさくてうるさくて椅子を蹴りたくなって子供なんか一生いらないしうみたくなんかない、痛いしおなか重いし、うんだらずっと親でいなきゃいけないし、こわいし。あそこが切れたりやぶれたりするのもいやだし、自分のからだが自分じゃないみたいにおっぱい大きくなったりするのもいやだ。子供をうみたくないっていうことは、子供がほしい人とずっと一緒につきあっていくことを、あきらめることだ。


 ひとりはいやだ。ずっとひとりは、こわい。でも誰かがいると、いらいらする。愛情に愛情を返せない。ひとりになりたくてしかたなくなる。好きなひとがとなりに寝ていてさえ、そうなのだ。もう、なにか大事なものが欠落していて、なにか余計なひどいものが自分の中でみにくく肥大しているのだとしか思えない。生きていくのがこわいとか、ひとりがこわいとか言っても、同情される要素もない。


 暗い暗い気持ちになって、無事に着いたよと電話できなかった。


 金が欲しい、あふれるほど金持ちになって好き勝手暮らしたい。仕事したい。ものすごいセックスがしたい。でもそういうこと、全部どうでもいいような気もする。


 陽が暮れて真っ暗になったら、派手なお化粧して、知らないところでずっと踊っていたい。終われないし、おりられないんだ。