豊田道倫さんの歌のPVが、今youtubeにアップされています。監督は松江哲明カンパニー松尾! で、これがまた、



カップルシート」監督・松江哲明
http://jp.youtube.com/watch?v=7kUO_fjsrjk


 エロいんですよ。勘弁してくれってぐらいソワソワする。今までの中で一番エロいんじゃないか、松江くん。最新作が最高、という素晴らしい例を見せてもらった感じがしました。今まで松江くんのああいうシーン(どういうシーンだ。まぁ、そういうシーンですね)は、けっこう恥ずかしくて直視できなかったんだけど、その「こっちが恥ずかしくなる感じ」まで、全部エロになっていて、顔赤くなりました。いいなぁ! すごくいいよ!(ライターとは思えないホメ言葉)私は恥ずかしながらカップルシートでセックスするのが夢なのですが(何を言ってるんだ)31歳だけど今から青春やり直しますよ! 孤独な年末の傷にはガンガン沁みますが、ひりつく傷口が熱く燃えます。



「LIFE」監督・カンパニー松尾
http://jp.youtube.com/watch?v=aFg7sVW7eQI


 そしてAVでなくてもAVになっちゃうのがこっちですね(笑)。たった5分足らずの間に、しびれる映像が詰まってます。風景がとにかくいいんですけど、それでもやっぱりAVに見える。なんでなんだろう。


 違う歌のPVを一人ずつが撮っているのですが、なぜか印象としては、ひとつの歌についてのそれぞれの解釈を撮っているみたいな感じが残る。たぶん、その歌に対する正しい解釈とかそういうのではなくて、ひとつの歌に対する「俺にとってこの歌はこうなんだ」という少し乱暴なくらいの解釈を、それぞれが撮っているからなんじゃないか。「ほかのバージョンのPVがあったっていい。けど俺はこうなんだよ」という感じがする。そこがAVっぽいのかもしれない。「他の男がどんな風に撮ってたっていいんだ。でも俺はこうなんだよ」っていう、自分の手の中のもので勝負する感覚が、なまなましくていいです。


 豊田さんのライブ、29日に渋谷ですね。



★『おおきく振りかぶって』9巻が出たので、読みました。話の大きな盛り上がりのある巻ではないんですが、細かいエピソードにあふれんばかりに心の動きが詰め込まれていて、たまらんものがありました。


 特に、これは完全に個人的な思い入れですが、応援団長のハマちゃんが女監督百枝について話そうとするところには、声を出さずに泣きました。百枝は若い女性で、しかも巨乳で、ハマちゃんはそのことを話題にしようとするんだけど、田島がそれとなくスルーして、ハマちゃんは、巨乳が気になってはいるんだけど「俺も、あの監督が(新聞記者とかから)そういう目で見られたら嫌だもんな」と話を中断する。


 女なのも、巨乳なのも、人によっては「オイシイ」し、「ホメてるつもり」で話題にすることもあるんだろうけど、百枝が真剣にやっている、いわば人生賭けた「仕事の場」で、それを口にするのはいやだという田島やハマちゃんの、当たり前の感覚に泣けました。


 男と女が、人と人が本当に「わかり合う」ことなんてできないのかもしれないけど、私はこういうのは、ある種「わかりあっている」のだと思うし、『おお振り』自体、いろんな希望や絶望を他者と「わかりあっていく」物語のように思える。キャプテンの花井が、天才バッター田島の才能と自分を比べて、怒りに近い感情をおぼえるあたりとか、本当にいい。花井がそれをどのように処理していくかはともかく、一度そういう気持ちを味わうと、同じ気持ちを味わったことのある人とは「つながれる」と思う。読んでると、登場人物のほぼ全員と、否応なく自分が「つながってしまう」感じがあります。誰に対しても感情移入ができる。たぶん、この作品は30巻を越える長編になるのではないかと思うんですが、その分量の中でいったい何が起きていくのか想像しただけで恐ろしいです。野球マンガだし一見ありそうな作品に見えるけれど、ものすごい見たことのないマンガだし、これからもっと未曾有の作品になる。


 ちなみにこの9巻、私は有り金全部で本買おうと思って本の山をレジに持っていった時にレジ奥に積んであるのを発見し、「そ、その『おおきく振りかぶって』9巻、おいくらですか?」と尋ね、小銭をカウントして「買います!」と言って買ったのですが、さらにその横に『大奥』3巻があるのを発見し、今度は50円足りなくて買えないという悲しい出来事が……。くそー。明日買います。