『天帝のみぎわなる鳳翔』

★『天帝』シリーズが出るたびに、そして読むたびに思ってるんですが、古野まほろさん、私と結婚してください。ていうか結婚したほうがいいよ。まじでもう好きすぎるから! 抗鬱剤を毎晩、口移しで飲ませあおうぜ!(←プロポーズの言葉)


 子供の頃から本を読むのが好きで、読みはじめると没頭するタイプではあるのですが、その中でも読んでいる間にどんどん現実の世界が遠ざかっていって、現実の世界を見てはいるんだけどそこに生きてる心地がしなくなる小説というのがいくつかあって、それはたとえば『女王国の城』であり『四季』であり、『天帝』シリーズなのですが、「客観的に見ても素晴らしい」という評価じゃなく「主観で、ただ主観でもうこれ最高。これしかない!」と読むたびに思ってしまうのが古野まほろです。人にはすすめない。けど、自分の中ではいちばん大事な小説。なにかを「自分だけのもの」と思うなんて、いいかげん子供じみていると思うけど、そういう独占欲に駆られる作品で、読み始めると廃人のようになってしまう……。


 主人公の「古野まほろ」が、若さという点と、男の子であるという点をのぞいて、まるで自分のことのように思えてくる。それはまほろんの思考の道筋が自分に似ていると思わせられるからで、上手い作者は読者にそう思わせられるのだろうけど、タチの悪いことにこれはさらに「私だけはわかってる」というありがちな読者の自己陶酔をタップリ味あわせてくれるほんとに「はしたなき果実」で、私はそれを貪ることをやめられなくなっている。


 あとまほろんファンにちょっとした情報ですが、『天帝』ファンならば箱根のルネ・ラリック美術館に行かれることをおすすめします。『天帝のつかわせる御矢』の舞台である「あれ」の中でお茶とお菓子をいただけますから。もちろんテーブルはたためて舞踏会ができるようになっているんだぜ〜。次の新作を待つあいだ、しばしお茶でも。ふふふ、紅茶ソラシドまほろんファンには少々ものたりないお茶でしたけども。

天帝のみぎわなる鳳翔 (講談社ノベルス)

天帝のみぎわなる鳳翔 (講談社ノベルス)

天帝のはしたなき果実 (講談社ノベルス)

天帝のはしたなき果実 (講談社ノベルス)