夏目ナナ

 男臭い話が続いたので、ちょっとここらへんで女優さんの話をしたいと思います。弟よ、おまえの住む独身寮(男性限定)での人気女優ランキングは、1位・蒼井そら 2位・美竹涼子、3位・夏目ナナだそうですね。蒼井そらちゃんはご本人のアピール能力というか、伝達能力が高いので(もはや「AV女優」という仕事はいろいろな活動の中のひとつ、という感じすらします。セルフプロデュース能力が高いのでしょう)私が語るまでもないと思うし、2位の美竹さんは前にも書いたけどセックス時の反応が私にはもの足りなく感じられる(そこがまたミステリアスでいい、っていうのはわかりますが)ので、ここは、3位の夏目ナナちゃんについて書きたいと思います。くどくど書いたけど単に私がその中で一番好きなのがナナちゃんなだけだ!

 夏目ナナちゃんは、インタビューやビデオの中では関西弁で、非常に元気で力強い感じです。クラスの中でリーダーシップを取れそうな、強く光るものがある。でも、そうした子が往々にしてそうされるように、逆にそのことでイジメられたり叩かれたりしそうな危うい空気もある。彼女は明るいけれど、世の中の汚い部分はちゃんと知っていて、そういうものを寄せ付けない毅然としたところや、どこか肝の座った雰囲気があります。

 最初、私は彼女に「男前」な印象を持っていました。誇り高くて誰にも媚びない強いイメージ。実際、仕事に対しても前向きでマジメな感じでした。それだけだったら、私は彼女のことを好きにはならなかった。でも、そしたら、これがさぁ……ものすごいシャイなんですよ。そんで、けっこうマゾなんです。

 彼女は「女の媚びは大嫌い」と言っていて、女っぽくこう、しなを作るようなことがものすごく苦手なんだそうです。でもそれが、セックスになるとやっぱり女っぽくなってしまう。もちろんそれは媚びとは違うんけど、その「女っぽくなっちゃう」ことを、すごく恥ずかしがってる感じがするんです。「こ、こんな顔見んといて!」っていう心の声が聞こえるようで、ついついガン見してしまいます。そんで彼女のいいところは、そんな切ない恥じらいの表情を浮かべつつも、最後は快感に負けて激しいイキっぷりを見せてくれることです。最初このイキっぷりを見た時には、私の中に衝撃が走りました。こ、こんな美形でカラダも完璧でしかも、マジイキかよ!? と思いましたね。こんないい女を見てしまうと、女としてはふてくされて裏庭でタバコ吸いたい気分でしたが(ヤンキー座りで)、ものすごいスターが現れたことは確信しました。

 そして、マゾだのイキっぷりだの下世話な表現は置いとくとしても、彼女には強さと同時にどこかもろそうなはかない感じがあります。意外に「オレが守らな、どないすんねん」(姉ちゃん関西弁は初めてです……)的な保護欲をそそるところがある。計算された「守ってオーラ」にはほだされない私も、「うちは大丈夫やから」と言われるとついクラッと来てしまう、そんな感じでしょうか。私がクラッと来てもしょうがないんでしょうけど。

 私は彼女に一度だけ、インタビューさせてもらったことがあります。寒い冬の日でした。インタビューが終わると、彼女はその場にいた全員と両手で握手をして「ありがとう」と言った。ひるむくらい誠実な挨拶で、彼女について悪い噂をまったく聞かない理由が、よくわかった気がしました。彼女はすごくお洒落で、ストリート系の格好がよく似合ってた。「それ私服? かわいいね」と言うと、一瞬本気で恥ずかしそうな、照れた顔をしてまた「ありがとう」と言った。な、なんだ今の! すっげ、かわいいんだけど! これが計算だったら姉ちゃん全財産搾り取られても悔いはありません。では鼻息も荒く作品紹介に移りたいと思います。