私の身体の上を通り過ぎていってほしいカリブの海賊

★日が近くなってきたので、ふたたび告知をしておきます。
雨宮出演イベントの告知であります。

7/26(水)切通理作さん、森達也さんとのトークイベント 
場所・ネイキッドロフト(新宿)
http://www.loft-prj.co.jp/naked/schedule/naked.cgi?year=2006&month=7

7/29(土)第一回批評サミット:批評家トライアスロン
場所・UPLINK FACTORY(渋谷) http://www.uplink.co.jp/factory/
出演・佐々木敦吉田アミ雨宮まみ更科修一郎仲俣暁生(佐々木さんとそれぞれ一時間ずつ話して、最後に全員でディスカッションという形式です。イベント自体は29日、30日の二日間開催され、30日は大谷能生三田格樋口泰人前田塁市川真人さんたちが出演される予定です)

たぶん手とか声とかふるえてあぶない人みたいになってると思うので、あたたかい気持ちで見守っていただけると嬉しいです。

7/17追記・知り合いなどの反応を見てみると、7/29の「批評家トライアスロン」の方は、事前予約制なのと時間が5時間なので「敷居が高い」と言われているもようですが、私は大学の講義を聴くつもりで5時間ノート持って聴きますんで、みなさんもよかったら来てください! そりゃ、みんな酒を飲みながら観れるネイキッドロフトが好きなのかもしれないけどさ、そして私も、姉ちゃんなんかのために「2日とも来てください!」とも言いにくいんだけど、他の人も豪華だし、きっと刺激的な話が聞けるんじゃないかと思います。私自身は佐々木さんや他のみなさん(佐々木さんも含め、全員初対面です)とお話するのは、すごく楽しみにしているので、来ていただけると喜びますよ。
もちろん、ネイキッドロフトのほうもよろしくお願いします。姉ちゃんは酒が飲めないので緊張の度合いはどちらも変わらないと思われます。


 「パイレーツ・オブ・カリビアン〜デッドマンズ・チェスト」の一番早い先行上映(しかも前作「呪われた海賊たち」と一挙二作上映。夜9時に始まって終わるの夜中の2時半)に行ったら、思いっきり「さぁこれからどうなる!? つづく」という少年ジャンプ方式で終わられて呆然としています、雨宮です。この夏の唯一の楽しみが「パイレーツ・オブ・カリビアン」だったのに……。劇場であと2〜3回観たらこの夏も終わりかな……。弟よ! 姉ちゃん海外旅行とか行きたいです。弟じゃない男の人と……。

 で、「パイレーツ・オブ・カリビアン」なのですが、私はこれが映画としてどうかというのはどうでもよく、さらにジョニー・デップが好きだというわけでもなく、ただ単に「ジャック・スパロウ」(ジョニデの役名。カマっぽい動きをする海賊)というキャラ萌え。なのでした。ジョニー・デップが来日しましたっていう映像観てもまったくときめかないもんな。フィルムに焼かれた時点で二次元萌えというものになっているのだろうか。そして「萌え」という概念をいいもんだと思ったことも別になかったんだけど、自分がその立場に立ってみると、この気持ちを「萌え」としか表現することができないっていうのは、なんとなくわかってきました。あわよくばセックスとかもしたいんだけど、それよりなんか、むりやりほっぺたとかをぺろっと舐めてけげんな顔されたいな〜とか、首筋に剣をあてられて人質にされたらセックスより全然気持ちいいだろうな〜とか、ヒロインであるキーラ・ナイトレイの立場になりたいとはあんまり思わず、下っ端の船員とかでいいから近くでジーッと見ていたいなぁ、みたいな狂った気持ちになってくる。ジャック・スパロウというキャラクターが、口ではエロそうなことを言うし、女たちにバシバシひっぱたかれるほど女好きのキャラに設定されているにもかかわらず、あんまりスケベそうじゃないから、気持ちのやり場がなくなって(スケベそうでも気持ちのやり場はないんだけどな!)萌えているのかもしれない。でも、そそられる。何かよくわからないものをそそられる。純粋な性欲じゃないもやもやをそそられる。今作は「美しい痴女の接吻とセックス」の二村監督並みの、あの超顔を近づけて唇まで数センチというところなのになかなかキスしないというアレがあったりするのに、それが一番そそられるかっていうとそうじゃなかったりするのもなんか、ねぇ。ゴールがセックスや恋愛じゃないというだけで、どこに向かって走ったらいいのかわからなくなりますね。

 キャラを観たいがために前売り券をまとめ買いしようかと思っていますが、何度も観てしまうからといって、これが映画の正解だ、と言う気はないです。「悪い男」や「オアシス」を何度も観ないからといって、DVDが出ても買わないからといって、それよりも「何度も観るパイレーツ・オブ・カリビアン」が素晴らしいというわけじゃない。そんな比較は間違ってるし、ばかげてる。レンタルで300円代で借りるAVと3000円ぐらいで買うAVを比べて「3000円出して何回も観るAVのほうがスゴイ」と言うくらいナンセンスなことだと思う。それは、商売をやる側の論理であって、作り手側の論理でもなければ、受け手側の論理でもない。私は「パイレーツ〜」なら1万円でも出す(映画一回観るだけでも出す。むしろ出したい。すっげえつぎ込んで酔いたい)けど、千円で「ローマの休日」が売ってても買わない。それのどっちが優れていて、素晴らしいか、という比較は無意味じゃないか? 何が娯楽作で何が芸術作品か、というジャンル分けも、ちょっともう馬鹿らしいなぁ。観る側が「自分は○○が好きな派」と自分のことを規定しているのも、あんまり好きじゃない。全てのもの(AVだけでなく、映画も音楽も、本も)の情報が増えすぎて、全部は追いきれないからひとつに絞りたくなるのはわかるけど、どんな風に生きても一生は一生で、好奇心を殺してストイックに楽しむも、ミーハーに何でも飛びつくのも、最後に観れなかったものを残したまま死ぬところは同じで、だから、興味をもったら、飛びついたほうがいいと私は思っている。前言なんか撤回しまくって、嫌いだったものを好きになったり、否定していたものを肯定しまくったりすればいい。変わることをおそれるほどたいそうな自分なんかもともと持っちゃいないんだから。

 私は、フジ・ロック・フェスティバルで、イエローモンキーの前にこれ見よがしにその場を離れる人たちや、布袋の時に思いっきりトイレ休憩に行く人たちのことが大嫌いで、そんなんだったらフェスなんか行かなきゃいいのにと思う。世代的に絶対一度や二度は聴いてる布袋のはずなのになぜ背を向ける? 布袋がしみこんでる自分がださくて耐えられないから? 逆にカッコいいとか言うその「逆に」を取れよ。どっちもベスト・アクトだぜ。私は最初、イエローモンキーをテレビで観たとき、反射的にすごい嫌悪感を感じて、大嫌いだったけど、それが反転して好きになったときの気持ち良さときたら、もう、たまらなかったですよ。強烈な嫌悪感が裏返って好きになる瞬間ほど、いやでいやで気持ちいい瞬間ってないんじゃなかろうか。好奇心で今までまったく興味がなかったり、むしろ嫌いだったものにつっこんでいくと、自分がそれまで信じてたものがガンガン崩れていくわけですから、そりゃあ気持ちいいですよ。ガンガン崩れて、つまんねー等身大の自分が残る。宇多田ヒカルが好きでワールドカップに夢中な平凡すぎる自分が残るわけです。ミリオンセラーの100万分の1を担う人間になる。新星堂の特設ブースでCD買う人間に、売店で「Number」買う人間に、「ほぼ日」を読む人間になって(ごく最近読みはじめたYO!)、そのことに「逆に」をつけなくなる。「逆に」をつけなくていい人生は、自由ですよ。

 映画が終わって電車が走るまで、友達と入った24時間営業の中華料理屋の中では男女入り乱れて口説き合戦や熱いベーゼ合戦が行われており、さながらハッテン場のようでした。べつに薄暗くもない店内で女のムネに顔うずめる者あり、湯気の立った料理を前にベロを絡める者あり……。「オレけっこう(キミのこと)好きだよ? 100点満点だったらかなりイイ線行くよ? 87点ぐらいかな。あと13点はのりしろってコトで!」「(笑)あたしも90点ぐらいかな〜」「ね、これ実際どんくらい? (おっぱいに顔をうずめる)D? C?」「あんま見せたコトないんだよ〜。女友達にも見せたことないし、つきあった人しか知らないかな〜」「じゃつきあおう! 今つきあおうよ!」「(笑)え〜、いいけど……」「でもちゃんとしたデートしたいよね。水族館とかさ。好き? みなぞうって死んだの知ってる? みなぞう、超デカいんだよね」(※新江の島水族館にいた……えっと、何だっけ? トドよりデカいやつ)「水族館好きだよ」「じゃあ行こうよ。次の予定決めようよ(スケジュール帳を取り出す)。で、今日は? 家に帰るの?」「どうしよっかな〜」「で、コレ何なのよ? Dでしょ? かなり気になってんだけど(ふたたびおっぱいに顔を、以下略)」この時点ですでに外は明るくなってました。マジでうらやましいよ、セックスに夢があってな! 楽しそうな駆け引きだな〜。また口説かれてるお姉ちゃんがメガネで乳デカくてイイんだよ! 私も100点満点で70点は行ったな。しかもおっぱいに顔うずめられてもカラダ逃げないの。笑ってんだけど笑い声がちょっと発情してて顔赤いの。鎖骨のあたりまで赤いわけよ! 友達は「もたついてんな、口説きがループしてる。早く部屋行け! 部屋」と展開の遅さを指摘しつつクールに杏仁豆腐をすくっていました。いやいや、今ぐらいの感じが一番楽しいんじゃないの? 帰りの階段の踊り場あたりで指遣うぐらいがいんじゃないの? タクシー降りるときに「……寄ってく?」って言われるぐらいがいんじゃないの? どうでもいいけど私は胸がちいさいんで、ちいさすぎて服の胸元がガバガバになってて六本木ヒルズの映画館でポップコーンを食べてるとぽろぽろ落としてそれが胸元に入りまくって、立ち上がると1コか2コポップの奴が落ちてきます。キャラメル味の。口説かれてた姉ちゃんは谷間にポップの奴がとどまりそうな感じでありました。汗でしけって塩味になりかけたそれを目を見ながら食ってやりたいぜ。メガネは外さずに、ちゃんと目を見てくれよ。夏はアツいぜ! こんなまったくひとごとの妄想しかできないくらいに姉ちゃんの夏は低温だけどな!