ビヨンセが来日しましたね。個人的には渡辺直美の『ドリームガールズ』のほうのものまねを見て欲しかったです(別の方を見せてた)。
そんなビヨンセの新曲ですが、聴いてたら泣けてきた……。
http://jp.youtube.com/watch?v=ow9R_CyHOtA


 最近のビヨンセの、力入りまくりの歌唱法は個人的にはあまり好きではなくて、この歌もこういう風に重い、苦しいバラードにするよりも、同じ「もし自分が男の子だったら」というテーマなら、もっと軽くポップにしてグサッと皮肉を差し込むぐらいの軽さがいいなと思うんだけど(最初の方の歌詞は、軽くていいと思う。「私がもし男の子だったら、起きて好きな服を着て、男友達とビールを飲みに行って、ナンパしまくるの」みたいなところ)、今はそんな気持ちじゃないんだろうな、ビヨンセは。苦しい歌や、重い歌を、オブラードにくるんだりポップにかわいくしたりする余裕がないときだってあるんだろう。というか、ビヨンセは「歌」「歌手」ということに非常にこだわっていて、キレイでセクシーな美のアイコンとしての自分を遊ぶことをしない方向に行っているのかな。すこし、見ていて息苦しいときがある。


 私は、苦しいことや痛いことを書くのは、わりと得意になってしまったし、長い文章を書くのも(こういうブログのような場所では)とてもラク。いくらでも長くできる。けどそれよりも短くて楽しい軽い文章のほうが、今の自分は好きだし、そういうものを書きたいと思うようになっている。でも自分の中に苦しいことや痛いことが残っていて、それがフッと出てきたりして、まだまだ軽くなれる時期が来ないのかなと思ったりもする。どんどん軽くなっていけたら、どんなにいいだろう。「こんなもの、何の価値も意味もないじゃないか」と言われるくらい軽いものを、いつか書いてみたい。


 田辺聖子さんが勲章をもらって、うれしかった。田辺さんは芥川賞をとったあとに、恋愛小説を書いていたら「あいつは純文学をやらないで大衆小説ばかり書いて」と、ものすごく批判されたのだそうだ。その頃に、ふとお酒を飲みながら「でも、私は大衆小説が書きたいんだけどな」と(ホントは大阪弁でね)言ったところ、「好きなこと書いてたら、読む人はわかってくれる」と言われたのだという。たぶん、言ってくれた相手はカモカのおっちゃんだろう。私も田辺さんに勲章あげたい。ありがとうと言いたいな。田辺さんのハイミス小説がなかったら、どんなにみじめな気持ちで独身の三十代を迎えていたことかと思うとぞっとするよ! あの一連の気ままでかわいらしいハイミスたちのおかげで、私は一人旅も独身も平気。自分の部屋も好きだ。田辺さんの新装版のカバーもかわいくていい。文庫はカバーの紙を違うのにしたほうがいいと思う(と、こまかいインネンをつけてしまうあたり、やっぱり修行が足りません)。千代紙みたいな柄だから、それっぽい紙にしてくれたらコレクションしたくなるのにね。単行本のほうで集めろということか……。