泥だらけの青春

 えー、自分で始めておいてナンですが、不毛な議論をやっていても読んでいる人の気持ちがどんより重〜くなりそうなので、通常営業に戻りたいと思います。不毛というのは、クラウドさんのことを指しているわけではありません。クラウドさんが非常にていねいにわかりやすく意見を述べてくれたことには感謝していますし、このやりとり自体が不毛であったとは思っていませんが、この話は、分け入っても分け入っても深い森というか、そういう感じの話題なのです。クラウドさんと私が話したようなことを、普段周りの人間と話すとき、それが私のもっとも親しいと呼べる範囲の人でさえ、軽いいらだちを表情にのぞかせます。それは私に対するいらだちではありません。話せば話すほど、いろんな立場の、いろんな人がいて、それぞれがそれぞれに正しいのに、わかりあえずにバラバラになっていくことに対するいらだちがあるのです。私はその、ユーザーとライターとか、オナネタAVとちょっと毛色の変わったAVとか、市場とAV雑誌とか、男と女とか、そういうものの間の壁や段差みたいなものを叩き壊したくてこのサイトを始めたのですが、そのことについて「直接語る」ことが壁を叩き壊すことにはつながらないような気が、最近はしてるんです。

 「直接語る」ことによって、いろいろな立場や意見は見えてくるでしょう。でも、その数も種類も膨大です。AVを観ている人の数だけ違う立場があると言っていい。その「差異」を語りあうことよりも、「俺たちみんななんだかんだ言ってもAV好きだよな」ってことのほうに、私は希望を見たいです。「AVなんかに一喜一憂して、俺たちほんとバカだよな」って、ぬかるんだグラウンドでタックルを繰り返し、泥だらけになりながら夕日を見てガハガハと笑いたいです(昨日島本和彦読んだので、こんな情景しか思い浮かびません……)。

 と、いうわけで。先日弟がめでたく誕生日を迎えたので電話をしてみました。挨拶代わりに「最近いいの(AV)あった?」と聞くと「姉ちゃんに話そうと思っとったやつあったっちゃんね〜。なんか英語の名前の……ジャケがめちゃめちゃカッコいいヤツ……あ、思い出した! 『SWORD FISH』だ!」お、弟よ、それ売れてるよ……。お前のエロセンサーは、なかなかド真ん中だなぁ……。B系上玉強めギャルが好きな姉ちゃんにも、あのジャケはツボなのでした。コンビニに置いといたらうっかりギャルが買っちゃいそうな、ヘタなギャル雑誌よりカッコいいパッケージなんですよ。(ちなみにプレステージより発売中のシリーズです。同名のギャルブランドがあって、年甲斐もなく姉ちゃんときどきそこで買い物してます……。松本和彦さんも買ってるそうです。ハハハ、若作りご用達ブランドか!)

 そして弟に、私がインタビューをした映像が入っている「森下くるみベスト」を送っていたのですが、弟は「姉ちゃん、森下さんが幽遊白書とかスラムダンクとか好きで良かったね! 姉ちゃんと一緒やん!」と喜んでいて、姉ちゃん複雑な心境でした。だってそれ、やおいの話だし。「姉ちゃんサムライトルーパーとか聖闘士星矢も好きやったもんね!」と明るく言われても……。オナネタについてツッコまれるのがこんな気分とは! 弟にいつも明るくAVの話を振っていたことを少しだけ反省した瞬間でありました。弟よ、ビブロス倒産したんだよー。

 ちなみに今日帰宅してメールチェックしてたら、スパムメールの山の中に「三上翔子」という差出人と「森下」という差出人と「松本」という差出人がいて、「み、三上翔子森下くるみと松本和彦!? どれかひとつぐらいホンモノかもしれん!」と思って律儀に全部開いてみましたが、全部ただのスパムでした。ザ・ぬか喜び! 日曜日の夜なのに……。しょんぼりしながら今日は「ビデオメイトDX」でも読んで寝ます。編集部を去った佐藤記者、お元気ですか? 姉ちゃんはあなたとアニメの話とか、してみたかったです。今後のご活躍をお祈りしています。