イブ・イブ・イブ!

★「男がいないとあんたってホント、糸が切れた凧みたいだよね〜」。友達に言われた言葉です。ええ今年も東京のイブの空に舞いますねぇ、糸のプッツリ切れた凧が……。糸切れてるからどこまでも高く舞っていっそのこと西海岸あたりに漂着してみたいですよ。でも凧って、糸があるから高く上がるんですよね、きっと……。糸の切れた凧なんてどーせビル風に吹かれてネオンにビシッ! バシッ! と当たって濡れた地べたにべしゃっと叩きつけられるのが相場ってものです。今年はM-1ももう終わってることだし、テレビも観たいのは寂聴ぐらいだな(仏教なのにね)。


 しかし怖いのはこんな夜に、もう何年前に別れたのかすら思い出せないような人から偶然間違いメールが届いたり、何の罠かわからないことがたて続けに起こることだよ! 神様私をどーしたいの!? じゅうぶん辛酸なめてるからあんまいじめたり試したりしないでくれる? ちょっとカスタネダでも読み直して瞑想に入るか……(←ものすごくもてなさそうな発言)。


真魚八重子さんのサイトを見てて気づいたのですが、シネマヴェーラ森崎東特集をやるそうです!(→http://d.hatena.ne.jp/anutpanna/20081223


 なんでこんなはりきって告知をしているかというと、『黒木太郎の愛と冒険』には、若き日のTOHJIRO監督が出演していて、今とまったく変わらない超低音ヴォイスを発しているとウワサに聞いたからです(私は未見です)。ちょっと面白そうなので、ご興味を持たれたAVファンの方はこれを機に森崎東の世界に触れてみてもよいのではないでしょうか。私も観たいんだが、TOHJIRO監督の声を聞くと笑ってしまいそうでためらわれます……。


★そしてやっと「今さら」でない話題ができる! 『BECK』を読破しました。最終巻は三回読んで三回とも泣いて耳に涙が入ったよ(寝転がって読んでます)。また今度も近所のビデオ屋の貸本で借りてきたんですが、ぜったい店内で「読書家」ってあだ名つけられてると思うな……。十冊単位で借りて読破していく謎の(ヒマそうな)女。『カイジ』『のだめ』の次は『BECK』に! 「今読書家、『BECK』読んでますよ!」「今日最後の4冊借りて行きましたよ」「こないだ15冊を『一泊で』って言ってましたけど……」「仕事してんのかな〜。毎日のようにマンガ借りてるよね」「年越せるんですかね」「今度おまけにさりげなく五円チョコとかあげましょうか、なんかいいご縁があるように……」「そうだね、32歳だもんね」とか言われていそうです。


 しかし感動的な最後だった。あれはBECKの、というよりも、作者であるハロルド作石さんの「自分の表現は、こうありたい」という、ファンへの信頼と愛情に満ちた一言のようにも思えて、こんな世の中でここまでポジティブに善意を信じられて、それを何のてらいもなく表現できる強い明るさに感動して号泣してしまいました。私はなにかというとすぐ感動してすぐ泣くので、友達に「どれくらい泣いたか、泣き度をランキングで表現してくれなきゃどれくらい感動したかわかりにくい」と言われますが、これはもう三ツ星ですよ。たぶん、ひっかからない人にはまったくひっかからないマンガだと思う。ものすごくまっすぐだから(いろんな細やかな目配りや伏線はあるんだけどね)「えっ、このフツーのマンガのどこがそんなにすごいの?」と、途中まで読んで思う人もいるだろう。だけど、その「まっすぐ」が、「普通」が、どれだけすごいことか、最後の最後に証明されるわけで、この最後には、ハロルド作石さんが今まで音楽やマンガや、いろんな表現から受けてきた感動のすべてが、それに対する感謝の気持ちのすべてが、込められていると思った。じーんとしました。


 私はメロコアブームのときに、ハイ・スタンダードやルードボーンズ、スキャフル・キングブラフマン、オイ・スカル・メイツなどのバンドを好きになって、大阪までスカのイベントを追っかけたりしていて、なんかその頃のことを思い出す部分もありました。『BECK』の中に、ある音楽をほんの数秒聴いただけで人生がまるで変わってしまうという場面がありますが、ハイ・スタンダードと私の出会いは、まさにそんな感じで、今でもあのときハイスタが私の心に火をともし、生きる希望を与えてくれたことに、感謝しています。もらってばかりの私の人生。なにも返せていないまま、イブを迎えてしまいました。


 口先だけでごめんね。みなさん、ありがとう。読んでくれて。愛してます。愛してます。愛してます。今はこれだけしか、言えないけれど、きっといつか。

 メリークリスマス。どなたも、素敵な夜をお過ごしください。イルミネーションは、私は新宿ヒルトンホテルのクラシックなのがなかなか好きです。混むだろうけど、東京で最高の夜景は、六本木ヒルズの展望台です。展望台にいようが、家にいようが、場末のどこかにいようが、お好きな過ごし方で、存分に特別な一夜をお楽しみくださいますよう。