★今年は後半になって『AV FREAK』で女優さん同士のお友達対談の司会(自分で出した企画だったので通って嬉しかったです)、そして『ウォーA組』『SUZY』でエロ業界の好きな人、気になる人にインタビューするというかなり自由な感じの連載が始まって「エロ本界の阿川佐和子のイスに座った……!」とひそかに喜んでいましたが、私以外の誰もそんなことは思ってないことでしょう。座れてねーよ。でもどの連載もとても楽しくやらせていただいて、楽しかったです。


★なんだか美醜の話題が盛り上がってますが、私は今年9月からダイエットして4キロ痩せました。太ってようが別にそんなこと魅力の本質には関係ないのよ〜と言いつつ何を必死に痩せてんだって話ですけど、なんでそんなに痩せたかったのかこれを機にじっくり考えてみたところ、ナルシズム以外のなにものでもありませんでした。


 私は『ファイブスター物語』のファティマの体型が理想体型で、ええ、もちろんどう骨を削ってもどっかの骨をのばしたりしない限りは絶対に不可能な体型なわけですが、少しでも痩せるとあれに近づく気がして、気がするだけだし本気で近づけようとするならあばらが浮くぐらい壮絶なダイエットをしなくてはならないわけですが、まぁ、ほんのちょっと痩せて嬉しいな〜ぐらいでおさまってます。健康的にはあと5キロぐらい減ってもまったく問題ないのですけど、へ、減るかなぁ……。マスターに命じられれば痩せますけどマスターいないしファティマじゃないし! よくもまぁ三十路でこんな妄想を堂々と書けるもんだと思います。いや〜、キモイですよね。痩せる前に死んだほうがいいですよね! 二次元の女に憧れるのは男性だけではないのですよ。いやほんとは草薙素子も好きなんですけどあれはもう絶対に胸になにかを入れなきゃいけない要手術物件なのでなかなか手が出ないだけで……。っていうか胸入れても有線の回線とかつくわけじゃないし。いや痩せてもモーターヘッドとか乗れないけど! せつないですね。


 「人は痩せてるのがいい」と思ってるわけじゃないんです。他人をそういう目では見ないです。そして他人からどう見られるかという問題でも、あまりない。服着てて、私が太ったことや痩せたことに気づいた人はほぼいません(言わないでくれただけかもしれないけど)。水着とかだと気になるかもですが海外でしか水着着てないし(セレブっぽい発言! 貧乏人のくせに!)まわりみんな外人だとべつにそんな気になんないです。いちばん太ったのはパリ行ったときだったしね……。自分が自分の裸を見てどう思うか、という問題なんですよね。


 日本ではグラマラスなセックスシンボルのように思われている叶恭子さんですが、彼女の映画を観ると、イタリア人に囲まれている彼女の身体はむしろ壊れてしまいそうに華奢で、繊細なものに見えます。とても「肉感的」には見えないし、骨太な感じにも見えない。日本人の身体は、全体的につくりがひとまわり小さくて、その折れそうなはかない感じが色気に見えるのかもしれないなと思ったくらいでした。恭子さんという人は、そのような「どの場所で自分がどのように見えるか」はわかった上で、自分の中にある自分の美の基準にならって生きているのだろうなと思いました。


 昔は、ファティマのことは考えるだけで胸が苦しくなって、泣くほど絶望してました。絶対にこんなに美しくはなれないんだと思ったら、自分がいやでいやで仕方なかった。なんでしょうね、この変化は。年齢を重ねて適度にあきらめることが、できるようになったのでしょうか。それだけではない気がします。今でもファティマのことを考えると苦しいこともある。別にファティマみたいにならなければ男の人から好かれないわけではないことも、わかってる。なったからといってモテたり、他人から賞賛されたりするわけではないことも。もしなれたとしてもその頃には30代も後半戦にさしかかっているでしょう。熟女のファティマ体型とかどうなんだ。


 自分の好きな相手や、認めてほしい相手に、好かれるか好かれないかはわかんないわけです。そこは自分ではコントロールできない。そのことに比べたら、自分のことを自分でそこそこ気に入るようにするのは、すごく簡単でラクなことのように思えます。


 ただ、自分の好きな相手や、認めてほしい相手に承認されない自分を自分で承認することは、それなりに難しい。今は自分は昔よりそういう部分はラクになったように感じますが、その基盤は非常に脆弱で、いつまた同じ苦しみに落ちていくかわからない感じがします。


 自分を自分で認められない苦しみを、恋愛で埋めようとする人も多い。他者の承認によって埋めようとするわけですが、それはね、そんなにうまくはいかないよ。と私は思います。逆に他人を救うことで、他人を救える自分を好きになろうとする人もいますが、うまく言えないんだけど、自分のために他人を利用するのは、良い結果を生まないんじゃないですかね。


 と、整理できてないまま書いてますが、33歳2009年末の私の実感は、そんな感じでしょうか。